お世話になっております。AWA CONSULTINGの笹倉です。
前回は年末調整を従業員目線で説明してみました。今回は年末調整を実施する側、つまり雇用主の目線で見ていきたいと思います。なお、前回と重複する部分は割愛します。
源泉徴収業務の年間総まとめ
さて、前回申した通り、年末調整は確定申告の簡易版とも考えられます。それは日本の申告納税制度から考えれば、少し特殊な形式であり、従業員本人以外の申告に基づく税額決定の方法なのです。
さらに、前もって各人の給与から天引きした源泉所得税の清算をする役割も担っています。源泉所得税は「源泉徴収税額表」という統一の表を用いて計算する為、個人の生活様式による税額のズレを検知できません。
①各人の収入から計算する課税所得に対し、
②個別の所得控除を当てた後、
③確定税額を算出し、
④既払いの源泉所得税との差額から、還付や追加徴収を行う
ことになります。この時、前年の還付を、本年の課税給与に入れないよう注意しましょう。
会社としては、扶養申告書等を提出しない者の扱いに困ることも有ると思いますが、制度上、各従業員は確定申告を自分ですることも可能です。再三の忠告にも応じない従業員がいる場合は、その忠告の記録を残しておき(源泉徴収者としての義務を怠っていないことの証明)、期限までに年末調整を終えることを考えましょう。
尚、従業員自身が申告していなくても、障がい者控除や寡婦控除の適用が、入社時書類等から推察される場合は、その旨ご本人に伝えてみる方が良いと思います。
出来ないことは出来ない
次に、年末調整に関して無理を言ってくる従業員の扱いについて。
例を挙げるなら、医療費控除や寄付金控除を年末調整でしてほしい、というのがあるあるです。
こうした要望への返答は、考えるだけ無駄です。確定申告でしか出来ないものは、年末調整ではできません。
先ほども申した通り、年末調整の後には確定申告のシーズンがあります。さらに言えば、各従業員にあっては期限後の確定申告も可能です。調べてみて、年末調整の範疇を超える依頼をされていると判断した場合、即確定申告を促してください。間違っても、社会保険料控除等で調整するような行為はしてはいけません。
市役所との関係
年末調整を終えた後、源泉徴収票を各従業員の住む市町村へ送付します。その返答として5月に住民税の源泉徴収の通知書が届きます。
先ほどもあった、従業員から無茶を言われる例として、この市役所への源泉徴収票の送付を行わないでくれ、と頼まれることがあります(実話) こういったお願いは絶対に聞かないでください。会社にとっても本人にとってもリスクが大きいです。
またもう一つの実話として、市町村から届く住民税の通知書に、従業員が一人足りない、ということがありました。こういった場合は、市町村に電話してしまうのが一番早いです。「市町村に提出したっけ?」と確認しようにも、半年くらい前の記録を探すのは大変です。市民税課もこの頃にはひと段落していますので、すぐに対応してくれるはずです。
この実話では、源泉徴収票が他の人の分と静電気でくっついていて、市役所が見落としているという結末でした笑 まあ、行政も完ぺきではない、ということです。
まとめ
まとめとは書いたものの、特にまとめることはないのですが笑
年末調整は担当者の負担が大きい業務です。確定申告の代行を、従業員全員分やっていると考えれば納得でしょう。
AWA CONSULTINGは社労士事務所なので、年末調整の代行は行っておりません。が、実務経験はあるので質問の回答等は可能です。お気軽にご相談ください。
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