問題意識のおさらい
さて、前回の記事で組織にありがちな問題を3点あげました。
①そもそも共通目的を社内の人間に伝えられていない(或いは共通目的が定まっていない)
②社内に自分の考えに共感してくれる人間が少ない(或いはいない)
③一方的に話しかけてはいるが、リアクションが少なくて、貢献意欲が判断できない。
そしてこれらは、コミュニケーション不全から発生するものであると結論付けました。しかし、だからといって闇雲におしゃべりを推奨するものではない、というお話でしたね。
いかに解決するか?
ここからは問題解決を『実現』できる、具体的な方法を考えてみましょう。番号は問題意識の番号と繋がっています。
①これまで見てきたように、共通目的を設定することは組織の基本中の基本です。今組織にそれがないのであれば、すぐ作成に取り掛かりましょう。組織構成員が集まっているのは、何を達成する為なのか。これを定めずに皆を統率することは不可能です。別に立派なものじゃなくても良いのです。リーダーの考える目指すべき姿を描いてみましょう。
そして、熱意を持って組織の皆に伝えてください。この時、熱意が持てないのであれば、一度立ち戻って、熱意の持てる共通目的を設定し直しましょう。
②あなたの中にある「非難バイアス」と向き合いましょう。
あなたが他人の全てを理解できることなどあり得ないのですから、共感を得られていないという感覚も、あなたの予想の域を出ません。また、他人があなたを完全に理解することもありませんから、もしかしたら相互に思い違いしていることもあるかもしれません。それを飲み込んだ上で、共通目的の熟知者として、我慢強く皆に接しましょう。
実は、従業員の方と話をしていると「社長の話がコロコロ変わるから、素直に意見が聞けない」という考えをよく耳にします。社長は会社の為を思って一生懸命なのですが、従業員からすると振り回されていると感じているのです。
だからこそ、組織内で一貫した共通目的を説き続けることが有効になります。社長がずっと同じ価値観を大切にしていれば、従業員らは組織構成員として、何を大切にすべきかがわかるのです。
③相手の話を聞きましょう。話していることが相手に響いていない、と感じるときの多くは、本当に響いていません笑 暖簾に腕押し。いくら続けても無駄です。

そしてそういう時は、相手の意見に耳を傾けましょう。相手が考えていること、不安に感じていること、挑戦したいこと、とにかく自分の話を素直に聞けない理由を全て聞きましょう。
話してくれたら、どんな内容であっても腹を立てず、「共通目的」に沿った考え方になるよう誘導します。この時、相手の資質に遠慮する必要はありません。はっきりと、組織の目標を伝えてください。
万が一、相手が組織の考え方を肯定できない場合、退職することになるかもしれません。それでも、考えの合わない組織に所属し続ける不幸を避けたのだ、と前向きに考えてください。ミスマッチを解消できたのであれば、それは相手の人生をより良くする、良い退職です。前向きになる為にも、遠慮なく組織の考えを伝えるべきなのです。
まとめ
長期に渡り書いてきましたが、今日の記事が実践的な内容になると思います。
具体的な内容にしてみたつもりですが、所詮活字ですから限度があります。少しでも興味があって、ご協力が必要ということであれば、お気軽に無料相談をご依頼ください。
ちょうど時事的に、OpenAI社の創業者解任、それに反抗する9割近い従業員から会社への辞職通告の騒動が出ています。生成AIは営利と非営利をめぐる争点が多く、複雑な関係性が構築されてしまっていますが、組織運営の観点で見ると、創業者の経営理念=共通目的への貢献意欲を持つ従業員が非常に多かったという、世界でもそう多くない珍しい例だと思います。
事業内容や規模が違っても、組織の皆が惚れ込むような理念を形成できれば、世界一やりがいのある組織だって構築できるはずです。自社を愛していると公言する経営者が一人でも多くなるよう、私も頑張って支援してまいります。
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